川越の静かな街角に佇む築100年の古民家が、新たな息吹を吹き込まれました。今回は、シェフのこだわりと情熱が詰まった中華レストランのリノベーション事例をご紹介します。シェフの思いを形にするため、既存の躯体を活かしつつ動線を巧みに組み込み、古民家ならではの雰囲気を最大限に引き出す設計を実現しました。
1.シェフのこだわり:古民家を選んだ理由
オーナーシェフの福嶋さんは、長年日本らしさを大切にした中国料理を提供したいという思いを抱いていました。「日本ならではのエッセンスを取り入れた中華料理を目指したい」と語ります。その思いを実現するため、古民家のリノベーションという大胆な選択をしました。
「最初から古民家に興味があって、やっぱり日本独特の風情がある場所で店を開きたかったんです。中華料理を作る場に、日本ならではの雰囲気を持つ空間がふさわしいと感じていたのです」と福嶋さんは話します。

2.リノベーションの不安と決断の瞬間
古民家のリノベーションは、設備面やインフラ整備に不安が伴うことも多いですが、福嶋さんは最初からその魅力に惹かれていました。設計も担当させていただいた私たちとともに現地を見た際には、修繕や設備にかかる現実的な課題を知りながらも、「他の物件では味わえないワクワク感のある場所だ」と確信し、決断を下しました。
3.設計とデザインへのこだわり
築100年の母屋を囲むように増築された建物、構造体をいかしながら動線を検討し、プランニングを行いました。オーナーシェフの要望を丁寧に聞き取りながら、日本らしい風情と機能的な使いやすさを両立させる空間設計を目指しました。
また、店舗什器にはTENAの特注品を採用。レセプションカウンターと化粧室の手洗いカウンターは、古民家の趣に合わせて一つひとつ丁寧に作られています。
化粧室のサインもオリジナルデザインで統一感を演出。
自慢のカウンター席は2枚剥ぎの無垢のカウンターを制作しました。
さらに、レセプションカウンターの背景には季節ごとのしつらいを飾るスペースを設け、訪れるたびに変わる趣を楽しめる工夫も取り入れました。



4.仕上がりに大満足:お客様に伝わる店の魅力
店舗の仕上がりには高い満足感があります。古民家の元の姿を随所に活かしつつ、現代的な機能を加えたことで、お客様に「もともとこんな造りだったんですよ」と伝えやすい店となりました。カウンターの配置など動線の工夫も、快適なサービス提供に寄与しています。
5.プロジェクトを通じて感じたこと
「古民家の魅力を最大限に引き出せたことに感謝しています。プロに任せてよかった」と福嶋さんは話します。
期待以上の仕上がりとなり、店舗の独自の魅力を引き出せた設計チームとの信頼関係が成功につながったと感じています。 今後もこの空間でお客様に喜んでもらうことを最優先に取り組んでいきたいとのことです。
6.リノベーション事例から学ぶ空間作りの重要性
今回の事例は、歴史ある建物の魅力を生かしつつ現代的な機能を融合させることで、新たな価値を生み出せることが実現できました。オーナーの思いと設計やデザインにおいてプロの知見を活用し、キャッチボールを重ねることで、”思いをカタチに!”の解像度を高くし、空間の魅力を最大限に引き出す一役を担わせていただきました



chinois蓮歩
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